過去拍手文です
まとめれる長さのは一緒のページにアップしてます


〜欲しがりません、勝つまでは!〜

「吾郎君!僕たちの愛を祝ってくれる人がいるよ!」
「おお!愛はともかく、やっぱ拍手は嬉しいよな!」(吾郎軽くスルー)
「吾郎君!やっぱりここはお礼に何かした方がいいよ!いや、しようよ!」
「お?何か今日の寿也、熱いな?寿は何したいんだ?」
「それはやっぱり・・・v」
ジリジリと吾郎に怪しい手つきで詰め寄る寿也。
「ちょ!寿!手つき怪しいんだけど!?」
寿也と距離を取る吾郎。
「いいじゃないか!こんな日ぐらい!vV」
ガバッと腕を広げて突進してくる寿也。
吾郎に指先が触れようとした瞬間、おびえていた吾郎の目が光った。

(!!)

吾郎に左手首を掴まれ、反対の手で内側から肘を掴まれる。
そのまま吾郎が体を反転させて、背を向けるように寿也の内側に滑り込んだ。


「ぅわ、わああああぁぁああ!!!」


腕を強く引かれると、景色が一回転して、気づけば仰向けに倒れていた。

「っふ、合気道・正面打ち一教投げ」
「あ、合気道!?」
勝ち誇った様に吾郎は笑い、腹に足をぐりぐり乗せてきた。

「調子に乗るなよ寿?」
「っぐぇ・・・わ、わかったから、吾郎君。」

(ふふふ・・・吾郎君負けないよ!・・・てか吾郎君!鳩尾に足が!足がぁぁああ)

***

「ふぅ・・・榎本先輩に合気道習って良かったぜ」
(何で榎本先輩なの!?吾郎君!)


***

寿君!世の中そんなに甘くないよ!





〜欲しがりません、勝つまでは!裏話〜

「はぁ・・・」
夕方、厚木寮の自動販売機の前のベンチに座り、アンニュイなため息をついている吾郎がいた。

「あれ?お前・・・茂野だっけ?」
「え?あれ!?榎本先輩??何でここに??」
分厚い本を片手に持って立っているのは、海堂高校一軍エースの榎本直樹だった。
「ああ、ちょっと次の試合で眉村借りるんで、監督とちょっと打ち合わせ寄ったんだ。それにしても、何だ?ため息なんかついて」
ニヤッと笑って、吾郎の隣にさり気なく座る。
「何か悩みでもあるのか?先輩に話してみな?ん?」
これまた、さり気なく吾郎の肩に手を回す。
あまりに自然だったので、吾郎はそんな手に気づかずポツポツと話し出す。

「それが・・・最近寿也の、えと、佐藤の様子が変っていうか・・・よそよそしかったり、睨んでたり、妙にくっついて来たり、俺、最近の寿也がわかんねえよ!」
(ふ〜ん・・・佐藤がね〜・・・・)
吾郎の告白で、大体どんな様子かわかった。むしろわからない吾郎をマジマジと観察した。


同じチームの千石から、勝気で躾がいのありそうな、かわいい一年坊が入ってきたと聞いていたが、実際間近で見るのは初めてだ。
思わずぐしゃぐしゃ撫ぜたくなる髪、落ち込んで目を伏せた睫毛は意外と長い、綺麗に焼けた小麦色の肌、服の上からでも分かるしなやかな筋肉、おまけに今は薄っすら頬をピンクに染めて、プルプルと震えている。

(ふん。なかなか可愛いじゃねえか、千石の目に止まったのも分かるな)

「もしかして、その佐藤に身の危険を感じたりしちゃってんの?」
「!!そう!そうっす!何か妙に殺気を感じるんです!よくわかりましたね?」
「俺様は何でもわかるのよ!」
スゲー!と目をキラキラ輝かせる吾郎。

「・・・・そうだ、俺の部屋で合気道習わねえか?格闘技、趣味なんだ」
「あいきどう?」
首を小さく傾げて吾郎は尋ねる。
「そそ、いざって時の護身術だよ。投げ技とか、かっこ良く習ってみたくないか?」
「マジッすか!!教えてください!」
そう言って、誰もを虜にするヒマワリの様な笑顔を見せた。

(・・・可愛いじゃねえか・・・)

その後、部屋の番号と携帯の番号などを教えて別れた。
一軍寮で妙にウキウキした榎本が居たとか、居ないとか・・・。


***

榎本先輩の性格しりませんが、何となく!
そういうノリで!





〜それ、自然破壊ですから〜


友ノ浦中学の裏庭にある花壇の横に寿也は寝そべっている。
ここは日当たりも良く、芝も綺麗に生えていて絶好の昼寝スポットだ。
しかも中庭じゃなく裏庭だから、人の行き来も少なくて、寿也は結構気に入っていた。
風が吹くたびに、優しい花の香りが辺りを包む。

(吾郎君は僕のこと、どう思ってるんだろ・・・)

(僕の気持ちは、あの試合の後、思い切って告白したつもりなんだけど、反応イマイチだったよね・・・)

寿也は無意識に隣に手を伸ばし、白いマーガレットの花を一本取った。
その花をボーっと見て、おもむろに一枚花びらを千切った。

(吾郎君は僕のこと好き・・・、嫌い・・・、好き・・・、嫌い・・・)

プチプチと花びらを一枚一枚千切っていく。

(嫌・・・い!?)

そこには後一枚しか花びらは残っていない。それを抜けば嫌い確定だ。

(まさかね!)

ガバッと体を起こし、一枚花びらが残った花を放り投げて、次の花を花壇から取った。

(吾郎君は僕のこと嫌い・・・、好き・・・、嫌い・・・、好き・・・)

結果はさっきと同じ。


(ありえないよ!)


また一本花を千切る。

(嫌い・・・、好き・・・、嫌い・・・、好き・・・、好き・・・、嫌い・・・、好き・・・、嫌い・・・)



放課後、ふらふらしながら裏庭から出てくる寿也に倉本はぶつかった。
「お、おい!寿!午後の授業どうしたんだ?先生心配してたぞ?」
振り向いた寿也は、今まで見たこともない暗い、憔悴した笑顔を見せた。
「ふふ・・・。ごめんね倉本。ちょっと気分が悪くてさ・・・」
「あ、ああ・・・。それならいいんだけど・・・。大丈夫か?」
「うん。でも今日は練習止めとくよ」
そういい残して、またふらふらと寿也は去っていった。

「どうしたんだ?あいつ・・・。ん?」
ふと裏庭を見ると、ある一点から円を描くように芝生が真っ白に染まっていた。

それはマーガレットの大量の花びらだった。
そして、花の上部分だけが綺麗に千切り取られた無残な花壇があった・・・。

「まさか、寿じゃないよな?ははは、ははは・・・」
倉本は見なかった事にして、その場を静かに去った。

***

寿君花占いなんて乙女!
乙女の領域超えてますが・・・



SSメニューに戻る